一括下請負の禁止②(一括下請負とは、実質的関与について)
一括下請負の禁止②ということでその定義と「実質的関与」などについて、ご説明致します。(一括下請負の禁止①はこちらをごらん下さい。)
一括下請けとは
「一括下請負」とは、つぎのように定義されています。
建設 業者は、その請け負った建設工事の完成について誠実に履行することが必要です。したがって、元請負人がその下請工事の施工に実質的に関与することなく、以下の場合に該当するときは、一括下請負に該当します。
- 請け負った建設工事の全部又はその主たる部分について、 自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合
- 請け負った建設工事の一部分であって、他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の建設工事について 、自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合
このように「実質的に関与」せずに、他の業者に請負わせているかどうかが、ポイントになります。
では、具体的に「実質的に関与」とはどういったことなのかご説明致します。
実質的関与とは
「実質的に関与」とは、元請負人が自ら施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、技術的指導等を行うことをいい、具体的には以下のとおりです 。元請の場合と下請の場合で多少異なります。
①「元請の場合」
発注者 から 直接建設工事を請け負った建設業者 は、「施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、技術的指導等」として、それぞれ次に掲げる事項を全て行うことが必要です。
(ⅰ)施工計画の作成
請け負った建設工事全体の施工計画書等の作成、下請負人の作成した施工要領書等の確認、設計変更等に応じた施工計画書等の修正
(ⅱ)工程管理
請け負った建設工事全体の進捗確認、下請負人間の工程調整
(ⅲ)品質管理
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>請け負った建設工事全体に関する下請負人からの施工報告の確認、必要に応じた立会確認
(ⅳ)安全管理
安全確保のための協議組織の設置及び運営、作業場所の巡視等請け負った建設工事全体の労働安全衛生法に基づく措置
(ⅴ)技術的指導
請け負った建設工事全体における主任技術者の配置等法令遵守や職務遂行の確認、現場作業に係る実地の総括的技術指導
(ⅵ)その他
発注者等との協議・調整、下請負人からの協議事項への判断・対応、請け負った建設工事全体のコスト管理、近隣住民への説明
② 「下請の場合」
① 以外の建設業者は、「施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、技術的指導等」として、それぞれ次に掲げる事項を主として行うことが必要です。
(ⅰ)施工計画の作成
請け負った範囲の建設工事に関する施工要領書等の作成、下請負人が作成した施工要領書等の確認、元請負人等からの指示に応じた施工要領書等の修正
(ⅱ)工程管理
請け負った範囲の建設工事に関する進捗確認
(ⅲ)品質管理
請け負った範囲の建設工事に関する立会確認(原則)、元請負人への施工報告
(ⅳ)安全管理
協議組織への参加、現場巡回への協力等請け負った範囲の建設工事に関する労働安全衛生法に基づく措置
(ⅴ)技術的指導
請け負った範囲の建設工事に関する作業員の配置等法令遵守、現場作業に係る実地の技術指導
(ⅵ)その他
自らが受注した建設工事の請負契約の注文者との協議、下請負人からの協議事項への判断・対応、元請負人等の判断を踏まえた現場調整、請け負った範囲の建設工事に関するコスト管理、施工確保のための下請負人調整
ただし、請け負った建設工事と同一の種類の建設工事について単一の業者と下請契約を締結するものについては、以下に掲げる事項を全て行うことが必要です。
- 請け負った範囲の建設工事に関する、現場作業に係る実地の技術指導
- 自らが受注した建設工事の請負契約の注文者との協議
- 下請負人からの協議事項への判断・対応
補足
なお、建設業者は、建設業法第26条第1項及び第2項に基づき、工事現場における建設工事の施行上の管理をつかさどるもの(監理技術者又は主任技術者。以下単に「技術者」という。)を置かなければなりませんが、単に現場に技術者を置いているだけでは上記の事項を行ったことにはならず、また、現場に元請負人との間に直接的かつ恒常的な雇用関係を有する適格な技術者が置かれない場合には、「実質的に関与」しているとはいえないことになりますので注意してください。
また、公共工事の発注者においては、施工能力を有する建設業者を選択し、その適正な施工を確保すべき責務に照らし、一括下請負が行われないよう的確に対応することが求められることから、建設業法担当部局においても公共工事の発注者と連携して厳正に対応することとしています。