材料費を含む?含まない?どっち?
建設業法令には、金額によって制限されているものがいくつかあります。
では、その金額とは、はたして契約書等に記載されている額面上の金額で良いのでしょうか?
いつもより大きめの案件を発注された際に、自社の許可や現場配置技術者の資格で請負うことが出来るのだろうか、今一度確認する必要があります。
今回は、建設業法令で規定している金額制限がある法令について、材料価格を含むものと含まないものについてまとめてみました。
材料価格を金額に「含める」ものと「含めない」ものがある
実は、建設業法令に規定されている金額制限がある法令の金額については、契約書等の額面のみで判断してはいけません。
それはその金額判断について、注文者から支給された材料価格等を含める場合があるからです。
次の4つの金額制限法令において、その違いを説明致します。
① 軽微な建設工事500万円(建築一式1,500万円)には、材料費を含む
建設業法施行令 第1条の2
建設業法第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事は、工事一件の請負代金の額が五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、千五百万円)に満たない工事又は建築一式工事のうち延べ面積が百五十平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事とする。
2 前項の請負代金の額は、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とする。ただし、正当な理由に基いて契約を分割したときは、この限りでない。
3 注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを第一項の請負代金の額とする。
建設業許可が不要な「軽微な工事」の金額に関する判断については、法令の明文に記載されているとおり、注文者が提供する材料等の価格を含んで考えなければなりません。
② 特定建設業許可が必要な下請発注金額4,500万円(建築一式工事7,000万円)には、材料費を含まない
建設業法 第3条1項2号(特定建設業許可)
建設業を営もうとする者であつて、その営業にあたつて、その者が発注者から直接請け負う一件の建設工事につき、その工事の全部又は一部を、下請代金の額(その工事に係る下請契約が二以上あるときは、下請代金の額の総額)が政令で定める金額以上となる下請契約を締結して施工しようとするもの
建設業法施行令 第2条(法第三条第一項第二号の金額)
建設業法第三条第一項第二号の政令で定める金額は、四千五百万円とする。ただし、同項の許可を受けようとする建設業が建築工事業である場合においては、七千万円とする。
この法令で規定されている特定建設業の許可が必要かどうかを判断する際の、「発注者から直接請け負う1件の建設工事について、4,500 万円(建築工事業については 7,000 万円。以下同じ。)以上の工事を下請けさせようとするとき」の、4,500 万円以上の工事に該当するか否かを判断する際には、元請負人が提供する材料等の価格は含まないと解されています。
③ 監理技術者配置が必要な下請発注金額4,500万円(建築一式工事7,000万円)には、材料費を含まない
こちらは、② の特定建設業許可に関する考え方と同じですので、元請負人が提供する材料等の価格は含まないと解されます。その他、施工体制台帳の作成義務についても同様と解されます。
④主任技術者又は監理技術者の専任が必要な工事4,000万円(建築一式工事8,000万円)には、材料費を含む
建設業法施行令 第27条(専任の主任技術者又は監理技術者を必要とする建設工事)
建設業法第二十六条第三項の政令で定める重要な建設工事は、次の各号のいずれかに該当する建設工事で工事一件の請負代金の額が四千万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、八千万円)以上のものとする。
主任技術者又は監理技術者の専任が求められる工事とは、公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で、工事1件の請負代金の額が4,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上のものと定められております。発注者が公共機関でない、民間工事が含まれており、個人住宅を除くほとんどの工事がその対象となっております。
このような工事で、注文者が材料を提供する場合には、その市場価格又は市場価格及び運送費を当該請負契約の額に加えた額で判断するため、注文者が提供する材料等の価格を含んで考えなければなりません。
まとめ
まとめますと次のとおりです。
金額制限法令 | 材料費等を含むOR含まない |
---|---|
軽微な工事の請負金額 | 含む |
特定建設業許可が必要な下請発注金額 | 含まない |
監理技術者配置が必要な下請発注金額 | 含まない |
配置技術者の専任が必要な請負金額 | 含む |
※なお、これらの金額については、すべて「税込み」での判断となりますので、ご注意ください。