専任技術者、常勤役員等(経営業務の管理責任者)のテレワークに関する緩和について
新型コロナウィルスが私たちの生活に影響を及ぼすようになり2年が経ちます。最近では日本の一日の感染者数が初めて5万人を超え、ワクチン接種やウィルスの弱体化などにより重傷者数の割合は下がりつつあるものの、依然として先が見えない状況であります。
企業としてもソーシャルディスタンスの確保、テレワークの推進等の取り組みを行う会社が多くなり、働き方が一変しました。
国交省が緩和の恒久化検討開始
このような中、建設業会においても、国土交通省が営業所専任技術者、常勤役員等(経営業務の管理責任者)のテレワークについて、2020年4月から特例として緩和され、現在においても継続しております。
2021年11月には、日本商工会議所(日商)がコロナ収束後もこの特例を継続し、常勤義務の規制を緩和するよう要望し、これをうけ国交省は、経営業務管理責任者や営業所専任技術者の働き方改革を進めるためにも、テレワークが有効だとして、コロナ収束後もこの特例を継続し、恒久化を検討する考えが示されました。
ICT技術の利用状況を踏まえ、今後営業所の専任技術者、常勤役員等(経営業務の管理責任者)さらには現場の主任技術者・監理技術者の兼任などの緩和も期待されます。
営業所専任技術者等のテレワークに関する特例おさらい
とはいえ、現段階においては、2020年4月の特例が継続されているに過ぎません。
特例についておさらいしておきましょう。
以下が国交省HP掲載のQ&Aです。
営業所専任技術者等のテレワークに関するQ&A(国土交通省HP引用)
Q1.「ICTの活用により、営業所等で職務に従事している場合と同等の職務を遂行でき、かつ、所定の時間中において常時連絡を取ることが可能な環境」とは、具体的にどのような環境ですか。
A.ICT機器の使用状況等を含め総合的に判断する必要がありますが、例えば、メールを送受信・確認できることや、契約書、設計図書等の書面が確認できること、電話が常時つながること等が必要と考えられます。
Q2.営業所専任技術者に求められる「専任」の要件について、変更はありませんか。
A.営業所専任技術者の「専任」要件自体に変更はございません。「専任」の者とは、「建設業許可事務ガイドラインについて」【第7条関係】2.(1)に記載のとおり、「営業所に常勤して専らその職務に従事することを要する者」のことを指します。
Q3.営業所専任技術者を含む営業所の従業員全員がテレワークを実施し、営業所が無人になっても問題ありませんか。
A.営業所専任技術者がテレワークを実施する場合は、「ICTの活用により、営業所等で職務に従事している場合と同等の職務を遂行でき、かつ、当該所定の時間中において常時連絡を取ることが可能な環境下」においてその職務に従事する必要があり、営業所が無人となる場合には、テレワーク中の連絡先等を発注者等が把握できるようにしておく必要があります。また、発注者等から対面での対応を求められることも想定されるため、営業所においては、対面での打ち合わせ等が可能な環境を整えておくことが必要と考えます。
Q4.営業所と著しく距離が離れた場所でテレワークを実施しても問題ありませんか。例えば、沖縄県在住の者が、北海道の営業所の専任技術者に就任することは可能ですか。
A.営業所専任技術者は、緊急時等には対面での説明・現場確認が求められるケースも考えられます。また、従来、営業所に常識上通勤不可能な遠距離に居住する者については「専任」要件を満たさないものと扱っていたことも踏まえ、営業所に常識上通勤不可能な場所でのテレワークについては、「専任」要件を満たさないものとします(「建設業許可事務ガイドラインについて」【第7条関係】2.(1))。
このように法令の趣旨に則り、事業が営める範囲において、テレワークが認められています。
ICTをうまく活用し、適法にコロナと付き合うことによって、その先に専任技術者、経営業務の管理責任者の営業所専任性、主任技術者、監理技術者の現場常駐義務の緩和、業務の合理化、人手不足の解消等へ繋がることを期待しましょう。