建設業の用語集

建設業とは

建設業とは、元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請け負うことをいいます。(建設業法第2条)

ここでいう請負とは、当事者の一方が、ある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を与えることを約束する契約のことをいいます。雇用、委任、建売住宅の売買、委託契約や研究等のための調査、物品の販売などは請負には該当しないため、御注意ください。
逆に、契約名称が物品の売買契約や、業務委託契約であったとしても、発注者に対して建設工事の完成を請け負うような内容の契約(工事請負契約)となる場合には、実質的に建設業を営むものと解され、建設業法が適用されます。

営業所とは

建設業における営業所とは、請負契約の締結に係る実体的な行為(見積・入札・契約等)を行う事務所を言います。
単なる登記上の本店に過ぎないもの、請求や入金等の事務作業のみを行う事務連絡所、工事作業員の詰める工事事務所や作業所等は、営業所には該当しません。

他の都道府県における営業活動・工事現場について

例えば、管工事の建設業許可を東京都知事から許可を受けた建設業者は、東京都内の営業所のみ営業活動を行うことができます。
この営業所で締結した契約に基づいた工事は、営業所のない他の道府県でも行うことができます。

許可を有していない営業所での軽微な工事の契約についての注意

例えば、管工事業の建設業許可を全国どの営業所でも有していない業者は、軽微な工事(500万円未満等)の管工事業については、建設業許可が無くても全国どの営業所でも工事請負契約が出来ます。
しかし、ある営業所で管工事業の建設業許可を取得している場合で、他に許可を有していない営業所がある場合は、その営業所では軽微な工事(500万円未満等)であっても、管工事の請負契約はできません。
この場合は、有している都道府県知事許可の都道府県内であれば、その建設業を営もうとする営業所を建設業許可の変更届により、営業所の追加をするか、もし当該都道府県以外の営業所で建設業を営もうとする場合は、知事許可から国土交通大臣許可へ切り替え、その営業所を登録する必要があります。 
もともと大臣許可の場合は、変更届により、営業所の追加をする方法があります。

営業所の範囲について

「営業所」とは、本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいう。
したがって、本店又は支店は常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等建設業に係る営業に実質的に関与するものである場合には、当然本条の営業所に該当します。
また「常時請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等請 負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所をいい、契約書の名義人が当該事務所を代表する 者であるか否かを問いません。

営業所の要件とは

次のア~カの全てを備えていること。 ※管轄行政庁により若干異なります。

  1. 外部から来客を迎え入れ、請負契約の見積り、入札契約締結等の実体的な業務を行っていること。
  2. 電話(原則固定電話)・机・各種事務台帳等を備え、契約の締結等ができるスペースを有し、かつ他法人又は他の個人事業主の事務室等とは間仕切り等で明確に区分されている、個人の住宅にある場合には居住部分と適切に区別されているなど、独立性が保たれていること。なお、本社と営業所が同一フロアである場合、同一法人であるため仕切り等は必要ないが、明らかに支店と分かるよう看板等を掲示し、営業形態も別とすること。
  3. 常勤役員等又は建設業法施行令第3条の使用人(支店等において上記アに関する権限を付与された者)が常勤していること。
  4. 専任技術者が常勤していること。
  5. 営業用事務所としての使用権原を有していること。(自己所有の建物か、賃貸借契約等を結んでいること(住居専用契約は、原則として認められません。)
  6. 看板、標識等で、外部から建設業の営業所であることが分かる表示があること。

主たる営業所とは

建設業を営む営業所で、建設業上の本店のようなものです。建設業許可要件である「常勤役員等」又は「常勤役員等+直接補佐者」および専任技術者が常勤している必要があります。その他営業所の要件を備えている必要があります。

従たる営業所とは

建設業を営む営業所で、建設業上の支店のようなものです。建設業許可要件である「令3条使用人」および専任技術者が常勤している必要があります。その他営業所の要件を備えている必要があります。

特定建設業許可とは

元請として、税込み4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)の工事を下請けに出すような工事を請け負う場合に必要となります。

「元請として」

下請けとして請け負う場合は、特定建設業許可が必要となることはありません。

「4,500万円(建築一式は7,000万円)以上下請けに出す」

請負金額ではありません。あくまでも下請発注額です。
例えば、元請として3億円で請け負っても下請発注額が3,000万円であれば、特定建設業許可は不要で、一般建設業許可でたります。

「下請けに出す」

当該案件について、複数の下請に出した場合は、その合計金額での判断となります。
あくまでも請負なので、自社施工した部分は関係なく、常用や人工についても関係がありません。

「下請代金の額について」

元請として、税込み4,500万円以上(建築一式工事にあっては7,000万円)以上の工事を下請施工させようとする時の4,500万円(7,000万円)には、元請負人が提供する材料等の価格は含みません。

常勤役員等(経営業務の管理責任者)とは

令和2年の建設業法改正により、これまで「経営業務の管理責任者が常勤していること」とされていた人的要件を改正し、人的要件のみならず経営体制でも要件が満たせるように拡大改正されました。
改正後この人的要件を「常勤役員等を備えていること」、経営体制を「常勤役員等及びこれを直接に補佐する者を備えていること」となりました。

「常勤役員等を備えていること」(イ該当)

申請法人(個人の場合は個人事業主)の常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。

(1)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(2)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
(3)建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(イ(2)ではない者)として経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者

「常勤役員等及びこれを直接に補佐する者を備えていること」(ロ該当)

建設業に関する経営体制を有する者として次のaおよびbをともに置く者

  1. 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者
    (1)建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、この期間と合わせて建設業に関し5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位(エ参照)にある者としての経験を有する者
    (2)建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、この期間と合わせて5年以上役員等としての経験を有する者
  2. aを直接に補佐する者で、財務管理・労務管理・業務運営の業務経験(オ参照)を有する者

その他、国土交通大臣が個別の申請に基づきイ又はロに掲げるものと同等以上の経営体制を有すると認めた者(ハ該当)

許可を受けようとする者は、これら「常勤役員等」又は「常勤役員等+直接に補佐する者」を主たる営業所に常勤で備えることが必要な要件となります。

常勤とは

原則として本社、本店等において、休日その他勤務を要しない日を除き、一定の計画の下に毎日所定の時間中、その職務に従事していることをいいます。
このため、住所が勤務を要する営業所から著しく遠距離で、常識上通勤不可能な者、他に個人営業を行っている者、建設業の他社の技術者・経営管理責任者・常勤役員等及び常勤役員等を直接に補佐する者や、他社の常勤役員・代表取締役・清算人等と兼ねることはできません。なお、他の法令により専任性を要するとされる管理建築士、宅地建物取引士についても同様ですが、同一法人で同一の営業所である場合には、例外的に兼ねることができます。

専任技術者とは

建設業許可の要件です。建設業許可を取得し建設業を営む営業所ごとに常勤で所属している必要があります。
営もうとする建設業の種類(29業種)ごとに、それぞれ必要な資格が異なります。
詳細は「専任技術者となりうる資格・実務経験について」《リンク》をご覧下さい。

財産要件とは

建設業許可を取得するには一定の財産要件が必要となります。
一般建設業許可と特定建設業許可では財産要件が異なります。

一般建設業許可の場合

次のいずれかに該当すること。

①自己資本が500万円以上あること。
法人では、申請時直近の確定した貸借対照表における「純資産の部」の「純資産合計」の額を、個人では、期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に、負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額を意味します。

②500万円以上の資金調達能力があること。
申請者名義(法人である場合は当該法人の名義であること)の口座における、取引金融機関発行の500万円以上の預金残高証明書又は融資可能証明書(融資残高証明書ではなく、融資の予定がある証明書を指します。証明日の「○月○日現在」後1か月以内のものが有効)により判断します。

③直前5年間に建設業許可を受けて継続して営業した実績があり、かつ、現在建設業許可を有していること。
廃業や許可の取消し、許可の有効期間が満了したことに伴う失効によって継続が途切れた場合や、一度も更新申請をしていない場合は該当しません。ただし、他の申請を伴わない初回の更新申請時については、5年間継続したものとみなします(追加申請等を伴う場合は①または②による)。
なお、許可換え新規申請においては、①又は②のどちらかの要件を満たす必要があります。

特定建設業許可の場合

次の全ての要件に該当すること。

①欠損の額が資本金の20%を超えないこと。
②流動比率が75%以上であること。
③資本金が2,000万円以上あること。
④自己資本が4,000万円以上あること。

要件の判定に使用する貸借対照表について

申請時直近の確定した貸借対照表(定時株主総会の承認を得たもの)において、下表の[1]から [4]までの全ての事項に該当していることが必要です(新設会社で決算期未到来の場合でも作成)。

個人の場合の注意点について

決算期が未到来の場合のみ、4,000万円以上の預金残高証明書又は融資可能証明書(証明日の「○ 月○日現在」後1か月以内のものが有効)を提出してください。

欠損比率の計算方法について

繰越利益剰余金がある場合や、内部留保(資本剰余金(資本剰余金合計)、利益準備金及びその他利益剰余金(繰越利益剰余金を除く)の合計)が、繰越利益剰余金のマイナスの額を上回っている 場合には、要件を満たしていますので、下の[1]の計算式を使う必要はありません。

誠実性の要件とは

法人・役員等、個人事業主、建設業法施行令第3条に規定する使用人(支配人・支店長・営業所長等)が請負契約に関して、不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者ではないこと。

  • 「不正な行為」=請負契約の締結又は履行の際の詐欺、脅迫等、法律に違反する行為
  • 「不誠実な行為」=工事内容、工期等、請負契約に違反する行為

なお、建築士法、宅地建物取引業法等の規定により不正又は不誠実な行為を行ったことをもって免許等の取消処分を受け、その最終処分から5年を経過しない者は、不正又は不誠実な行為をする おそれが明らかな者として取り扱います。

役員等とは

業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者(法人格のある各種の組合等の理事等(執行役員、監査役、会計参与、監事及び事務局長等を除く))又は相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者をいいます。 具体的には「相談役」及び「顧問」のほか、「その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者」である可能性がある者として、少なくとも「総株主の議決権の100分の5以上を有する株主」及び「出資の総額の100分の5以上に相当する出資をしている者」(個人である者に限るを指します。この他、役職のいかんを問わず、取締役と同等以上の支配力を有する者についても同様です。

欠格事由とは

欠格要件(主な欠格要件は以下のとおり)に該当するものは、許可を受けられません。

  1. 許可申請書若しくは添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けている とき。
  2. 法人にあってはその法人の役員等、個人にあってはその本人、その他建設業法施行令第3条に規定する使用人(支配人、支店長、営業所長等)が、次の要件に該当しているとき。
    ①破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
    ②精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことがで きない者(施行規則第8条の2)
    ③不正の手段で許可または認可を受けたこと等により、その許可を取り消されて5年を経過しない者
    ④③に該当するとして聴聞の通知を受け取った後、廃業の届出をした場合、届出から5年を経過しない者
    ⑤建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、又は危害を及ぼすおそれが大であるとき、あるいは請負契約に関し不誠実な行為をしたこと等により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
    ⑥禁錮以上の刑に処せられその刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経 過しない者
    ⑦建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、又は刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の 執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
    ⑧暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団 員でなくなった日から5年を経過しない者(⑨において「暴力団員等」という)
    ⑨暴力団員等がその事業活動を支配する者

社会保険の加入に関する要件とは

許可を受けようとする事業者が、次のいずれにも該当する者であること

  1. 健康保険法第3条第3項に規定する適用事業所に該当する全ての営業所に関し、健康保険法施行規則第19条 第1項の規定による届書を提出した者であること
  2. 厚生年金保険法第6条第1項に規定する適用事業所に該当する全ての営業所に関し、厚生年金保険法施行規則 第13条第1項の規定による届書を提出した者であること
  3. 雇用保険法第5条第1項に規定する適用事業の事業所に該当する全ての営業所に関し、雇用保険法施行規則 第141条第1項の規定による届書を提出した者であること
    【令和2年10月1日の建設業法改正により、社会保険への加入が建設業許可の要件となりました。】
    適用が除外される場合を除いて、社会保険の加入が確認できない時は、新規・業種追加・更新申請の許可及び承継等に係る認可ができません。
    また、既に許可を有している場合は、その取消しの事由となります(令和2年10月1日以降に申請を行う場合)。
    なお、加入状況に変更があった場合は、2週間以内に変更届を提出する必要があります。
    また、承継等に関する認可申請においては、社会保険の加入届書提出に係る誓約書(様式第22号の6)の提出を以て、後日提出とすることが可能です。

附帯工事とは

建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事のほか、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事(以下「附帯工事」という。)をも請け負うことができるが、この附帯工事とは、主たる建設工事を施工するために必要を生じた他の従たる建設工事又は主たる建設工事の施工により必要を生じた他の従たる建設工事であって、それ自体が独立の使用目的に供されるものではないものをいう。
附帯工事の具体的な判断に当たっては、建設工事の注文者の利便、建設工事の請負契約の慣行等を基準とし、当該建設工事の準備、実施、仕上げ等に当たり一連又は一体の工事として施工することが必要又は相当と認められるか否かを総合的に検討する。

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